恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


紫貴は笑みを浮かべたまま、涙のうっすら浮かんだ瞳であたしを見つめる。

紫色の瞳が、愛しくて堪らない。


「ヴァンパイアだからって、関係ない……っ。

あたしは、紫貴に血を必要とされる事を幸せに思ってるよ。

最上級の愛情表現だって、思ってる……っ」

「くるみ……」


ずっと伝えたかった気持ちが、どんどん言葉になって溢れ出す。

紫貴に分かって欲しかった気持ち。


それを、ひとつ残らず伝えたくて、紫貴を見つめながら涙声で続けた。


「だからもう……、あたしと一緒にいる事を後ろめたく思わないで……。

紫貴じゃなくちゃ、ダメなんだよ……!

それを伝えるために、灰斗さんとあんな賭けしちゃうくらい……。

それくらい、紫貴じゃなくちゃ、ダメなんだよ……っ!


だから……、ずっと傍にいてよ」



< 314 / 343 >

この作品をシェア

pagetop