恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「……、紫…貴、……っ」
キスを続けながらも、紫貴の存在を確認するように名前を呼んだ。
口許をわずかに緩めた紫貴が、あたしの腰に回した手に力を入れて、ぐっと抱き寄せる。
同時に深まったキスに、そのまま酔いしれたくなって……。
でも、紫貴は突然それを止めた。
そしてあたしを抱き寄せると、カーテンの閉まっている窓を見据えた。
「なに―――……」
紫貴の視線を追った途端、びっくりして言葉が詰まる。
閉まっていたハズの窓。
そこから風が流れてきて、カーテンをはためかす。
そして、次の瞬間には灰斗さんの姿がそこにあった。