恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


「……、紫…貴、……っ」


キスを続けながらも、紫貴の存在を確認するように名前を呼んだ。

口許をわずかに緩めた紫貴が、あたしの腰に回した手に力を入れて、ぐっと抱き寄せる。


同時に深まったキスに、そのまま酔いしれたくなって……。

でも、紫貴は突然それを止めた。


そしてあたしを抱き寄せると、カーテンの閉まっている窓を見据えた。


「なに―――……」


紫貴の視線を追った途端、びっくりして言葉が詰まる。


閉まっていたハズの窓。

そこから風が流れてきて、カーテンをはためかす。


そして、次の瞬間には灰斗さんの姿がそこにあった。



< 318 / 343 >

この作品をシェア

pagetop