恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「あたしに幸せにしてもらったからもういいって、そう思ったの?!
そんなの、ずるいよ……っ!
だって、あたしの気持ちはどうなるの?!
記憶を失うまでして紫貴を守りたかったあたしの気持ちは……、どうなるの……?」
目から涙が溢れ出す。
あたしがあの賭けに乗ったのは、誰よりも大切な紫貴を苦しめたくないから。
なのに、紫貴はそんな事を考えてたなんて……。
「これからもずっと紫貴と一緒にいたいから、だからあの賭けに乗ったのに……。
紫貴が途中で諦めるなんて……、あたしが賭けをした意味なんかなくなっちゃうじゃん……」
「……くるみ」
胸ぐらを掴んだまま、頭を紫貴の胸につけるようにして俯く。
上から降ってきた紫貴の声が、申し訳なさそうに聞こえた。
あたしは、持っていた紫貴の服の襟をもう一度強く掴んで勢いよく顔を上げた。