恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「あれ、ここ……、」
「生徒会室」
「今、」
「17時10分。生徒会の集まりなら30分前に終わった」
あたしがぽつりと零す言葉に、藍川がきっちりと答える。
見渡すと、夕日色に染められた教室が映る。
集まっていたハズの生徒会委員は、誰もいない。
「委員会が終わった後、残った作業をしながら居眠りしたんだろ」
「あ、そうだった。明日の全校集会用の文章を考えてて……って、藍川なんでいるの?」
やっと現状を把握してから聞くと、藍川はすました顔をして答える。
「生徒会長が生徒会室にいるのに理由が必要か?」
「体調不良で生徒会サボった会長が、今さらなんでって事。分かっててとぼけるのやめてよね」
むっとしながら言うと、藍川がふっと口許を緩める。
「保健室で休んでからここに来たら、寝ている桃井がいたから起こしただけ」
「へー……それはどうも」