恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
ここにあった写真は、一体何を映し出してたの……?
写真の抜け後を指でなぞりながら記憶を辿るけど、やっぱり何も思い出せなくて。
思い出の中にはどこも不自然な場所はない。
なのに、漠然と何かが足りない気がして仕方がない。
もっと手がかりがないか、本棚に入れてあるハズの中学の卒業アルバムを探す。
だけど見当たらなくて、置いてあったハズの場所に伸ばした手は、宙をさまようだけだった。
誰かが持って行ったのかも知れないと、部屋を出てリビングに向かう。
「おじさん、あたしの卒業アルバム知ってる?」
15畳ほどのリビングでは、おじさんが雑誌を広げていた。
遠目から見るに、多分車の雑誌。
8年くらい乗った車をそろそろ買い換えようと思ってるって、先月言っていたのを思い出す。
おじさんは一瞬驚いた表情をした後、首を捻って眉をしかめた。
「いや、知らないが……どうして急に?」
「うん。なんかちょっと気になる事があって」