恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「あ……、」
もやもやとした気分のままじゃ、どうしても寝付けそうになくて。
おじさんに断わってから散歩に出た先で見かけたのは……、もやもやの原因の張本人。
なんでうちの近くに……なんて思ってから、藍川もこの辺りに住んでるって言っていた事を思い出す。
月明かりに照らされる藍川は、いつもよりもぐっと大人っぽく見える。
黒い髪も、高い背も、紫色の瞳も……全部が夜に似合っていた。
藍川も散歩しているのか、ゆっくりと歩いているから、あたしもなんとなくその後をつける。
どこに住んでるのか突き止めよう、とかそんなんじゃなくて、ただ藍川から目が離せなかった。
なんなんだろう。
なんでこんな感情になるんだろう。