恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「藍川って、なんか夜が似合うね」
自分の恥ずかしいうぬぼれを誤魔化すために言うと、藍川は少しだけ眉を潜めた。
大人っぽくてきれいって意味だったんだけど……。
気分を悪くさせちゃったのかな。
そんな不安を感じていると、既に無表情に戻っている藍川が言う。
「こんな時間に散歩か? 門限22時だろ?」
「え、あ、うん。……なんで知ってるの?」
門限の事なんか話した事ないハズなのに……。
あたしの質問には答えずに、藍川は踵を返すとあたしに歩み寄る。
そして、「送る。おじさんが心配してるだろ」と言って微笑んだ。