恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


「ねぇ、藍川は兄弟とかいるの? 何人家族?」


あまり人気のない細い道路。

隣を歩く藍川を見上げながら聞く。


「両親はいない。兄弟は、兄貴が1人。……離れて暮らしてるけど」

「え……、じゃあ一人暮らし?」

「……今は」


以前は誰かと住んでいたみたいな言い方だった。

引っかかったけど、あまりつっこんで聞くのも気が引けて相槌だけ打つ。


2人の足音だけが聞こえる、夜の道。

照らす月明かりの優しさが、辺りを包み込んでいた。


「散歩の理由は?」

「理由?」


突然聞かれて首を傾げる。

藍川はちらっとあたしを見てから、また前を向いて話す。




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