恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


「くるみは、何か考え事があると夜道を歩きたがるから。……昔から」

「昔からって……。

藍川、あたしの事いつから知ってるの……?」


思わず立ち止まったあたしを、藍川が振り返る。

そして、しばらくそのままあたしを見つめて……ふ、と笑った。


「俺の問い掛けに答えるのが先だろ。

散歩したくなった考え事は?」


はぐらかされたのが分かったけど……。

藍川の言ってる事も一理ある気がするし。


だからって、散歩の理由を説明するには、少しためらいがあった。

だって、理由が理由だし。


「……笑わない?」

「はっきり言えよ」


一応、事前に確認をとると、ぴしゃりと言われてしまって。

唇を噛んだ後、仕方なく説明する。







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