恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
諦めないで食いつくと、祐ちゃんは『やれやれ』とため息混じりに話し出す。
「何に影響されてるんだか知らないけど、あたしが知る限り、そんな能力持ってるのは吸血鬼とかじゃない?
宇宙人って怪我しても血が出るシーンとかってあんまり見た事ないし。
血が出るって事は生身の人間って事だしね。人間型の怪人?
それか、狼男だとか動物系のファンタジー?」
半分バカにしてるような言葉だったけど、あたしの頭はある言葉を耳にした時点で止まっていた。
「……吸血鬼?」
「知らないの? ヴァンパイアの事」
「知ってる……。祐ちゃん。やっぱりあたしおかしいのかも」
だって、「藍川」と「ヴァンパイア」って言葉がすごくしっくりくる。
ヴァンパイアなんか、いるかどうかも分からない架空の生き物だと思うけど……。
それでも、藍川がそんな気がして仕方ない。