恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「今日は応援の練習とかだし、当日、くるみは生徒会でしょ?
どうせ応援なんかしてる暇ないだろうし、必要ないんだから休んでなよ。先生には言っておくから」
気分はもう悪くはなかったけど、色々と考えたい事もあったし、祐ちゃんに素直に頷く。
「さてと、じゃあ戻るかな」と立ち上がった祐ちゃんにお礼を言う。
だけど祐ちゃんは、思い出したようにあたしを振り返った。
「あ、くるみ。後で藍川くんにお礼言っておきなよ。くるみの具合に一番に気がついて、ここまで運んでくれたんだから」
「え……藍川が?」
「うん。なんとお姫様抱っこで。学校中の女子が黄色い悲鳴上げてたよ。
藍川くんって冷血そうだけど王子様な外見だからハマってて面白かったよ」
「……」
キャーキャー言われる中、それを気にもせずスタスタ歩く藍川の姿が目に浮かぶ。
だけどお姫様抱っこされたとか、騒がれたとか。
そんな情報は、藍川の名前を聞いた途端どこかに飛んでいく。
自分が異常に思えて仕方ないほどに、藍川を気にしている自分がいる。
しかもその理由が分からないから、気持ち悪い。