恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


天井を見つめたままだった視線を移すと、さっきまで祐ちゃんが座っていた椅子に腰を下ろす藍川の姿があった。

……いつの間に教室に入ってきて、いつの間に近づいたんだろう。


藍川は音も立てずに近づくとか、そういう事をよくする。

それもヴァンパイア疑惑を強くする原因の一つなのかもしれない。


「藍川は他の人と関ろうとしないから、そう見えるんだよ」

「関らない方がいいんだ。そいつらの為にも。……気分は?」


またあたしに疑問を沸かせるような言葉を言ってから、尋ねられる。


「うん。もう大丈夫。

……なんかごめんね、運んでもらったみたいで。……重かった?」

「いや。こう見えても力はあるから。くるみ一人くらいだったら何でもない」

「そっか……」






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