恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
そう思って俯いたあたしに、藍川が小さなため息をつく。
「別にそんなつもりはない。はぐらかすのは今までの生き方のせいだし、はぐらかしておいた方が後々お互いのためになるからだ。
だけど、拒絶なんかしてない。……少なくとも、くるみには」
「じゃあ、今から聞く質問に、嘘をつかないで答えてくれる?」
『お互いのため』だとか、多少引っかかるところはあるものの、ちゃんと答えてくれた藍川に付け入って聞く。
藍川は少しの間黙っていたけど、諦めたのか頷いてくれた。
「ただし、質問は一つだ」
一つ……それをこんな質問に費やすのはどうかとも思うけど。
だけど、イエスかノーで答えられるような質問じゃなければ、またはぐらかされちゃうかもしれないし。
それにしても。
なんて言い難い質問なんだろう。
答えてくれるか、とかそういう心配以前に、正気かどうか疑われないか不安になる。