恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
藍川の紫色の瞳を見つめながら、ハッキリと言った。
藍川も負けじと見つめ返してくるから、にらめっこみたいになって……。
負けたのは、当然あたし。
「だだだって、藍川が『血が足りない』とか変な事言うから! 仕方ないじゃん!」
沈黙にバカにされている気がして、慌てて口を開いた。
その間も藍川は涼しそうな表情であたしを眺めていて、それが余計に恥ずかしい。
「吸血鬼とか、そんなの仮説だって分かってるけど、でもっ……」
「あたってるよ」
藍川の声なら、どんな騒がしい中にいても聞き分けられる自信がある。
それくらいに、その声は耳にこびりついて甘い余韻を残すから。
だから、あたしが藍川の言葉を聞き間違えたりするハズなんかないんだけど……。
素直に聞き入れる事のできない言葉に、もう一度聞き返す。