恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
紫貴はいつでもあたしに優しかったよね。
優しくて……、度が過ぎるくらいに甘やかされてた。
紫貴が甘やかしてくれる場所が、
頬を撫でてくれる紫貴の手が、大好きだった。
だけどね、本当は気付いてたんだ。
紫貴が、自分の正体に後ろめたさを感じてる事に。
あたしに接する時、どこか遠慮してる事に気付いてた。
だからね、優しくされるのが嬉しいのに
甘やかされるのが嬉しいのに
いつも、少しだけ切なかったんだよ。