恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
【第五章】
信じない。
その選択肢を持たなかったのは、なんでだろう。
藍川の瞳に呪縛でもかけられたから?
それとも、最初からあたしには何かへんてこな魔法でもかけられてたとか?
『俺は、吸血鬼。ヴァンパイアだ』
そんな言葉をすんなり受け入れたあたしは、どこかおかしいのかな。
『ヴァンパイア【vampire】
意味:吸血鬼、チスイコウモリの別名。
人の生き血を吸う魔物』
「魔物って……言いすぎ」
辞書を目の前に、呆れて笑う。
だけど、人の血を吸うなんて行為を日常的にしてるんだとしたら、それはやっぱり“魔物”になるのかな。
っていうか、藍川は毎晩血を吸いに出かけたりしてるの?