恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
でも、血を吸われたりしたら事件になったりしないのかな。
寝ている間に吸ったとしても、痛みで起きない?
記憶操作とか、前言ってたけど……。
吸った人間の記憶を操作してるから、事件にも何にもならないのかな。
……なんて。
考えてる事が、全部『藍川はヴァンパイア』が前提になってるし。
っていうか。
なんでそれを当たり前に受け入れてるんだろ。
普通、ヴァンパイア宣言なんかされたら悲鳴上げて逃げ出すところなのに。
帰るなり、窓だとかドア全部にガッチガチに鍵をかけて、ベッドの布団にくるまっててもいいくらいなのに。
藍川は……、
なんであたしにあんな事をバラしたんだろう。
『怖がらせるつもりじゃなかったんだけど……、ごめん』
言葉を失ったあたしに、藍川は困り顔で、つらそうに微笑んでから保健室を後にした。