恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「寄っていくか?」
少しだけ警戒した。
だけどそれは表面上だけで、返事は心の中で当たり前のように決まっていた。
「うん」
一人暮らしの男の人の部屋になんか入って大丈夫かな、とか。
急に押し倒されて、挙句血でも吸われたらどうしよう、とか。
そんな一抹の不安がない事もない。
だけど、違うんだ。
それとはまったく別の次元で、藍川を信頼してる自分がいる。
その信頼がいつどこで生まれたのか、あたしにも分からないけど……。
なぜか頑ななまでに藍川を信じてる。
まるで、ずっと前から藍川を知ってるみたいに。
疑うなんて言葉が出てこないほどに、信じてる。