恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
靴を脱いで部屋に入ると、電気のついていない薄暗い視界が広がった。
まだ日は落ちていないから、目を凝らすほどではないけど。
12畳ほどの部屋には、ベッドと机、テーブルが置いてあるだけで物が少ない。
机の上には本が積み上げられていて、その隣にはノートパソコンが置かれていた。
クッションもカーペットもない部屋は藍川らしいけど……。
床に座ってお尻とか痛くなんないのかな。
……痛がる藍川の姿も想像できないけど。
「ねぇ、藍川ってこの部屋のどこでくつろいでるの?」
「部屋にいる時は本かパソコンに向かってるか、ベッドで寝てるかどっちかだな」
「……藍川って高校生らしくないよね。ゲームとかやらないの? ……って、テレビもないし」
本当に何もなくて驚いていると、藍川はそんなあたしに微笑んだ後、ベッドに腰を下ろした。
そして、「直接床に座ると冷えるから」とあたしをその隣に座れと促す。