恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「くるみ? 顔色が悪いけど大丈夫か?」
ぎゅっと閉じていた目を開けると、相変わらず心配してくれてる様子の藍川がいて。
藍川の隣がとても恋しく感じて、気持ちに急かされるままその隣に腰を下ろした。
「どうした?」
「座っていいって言ったのは藍川じゃん」
「そういう意味じゃない。……何か、思い出したのか?」
まるで観察するように見つめてくる藍川。
それはあたしの体調を心配してくれているのもあると思うけど……。
それ以上に、他の何かを心配しているように思えた。
「前から思ってたけど……、やっぱり藍川はあたしが何を忘れているのか、知ってるでしょ」
「……なんでそう思う?」
「言い方とか、色々。藍川はあまり踏み込んでこないのに、記憶の事に関してはやけに聞いてきてくれるし。
それに、あたしの中の何かがそう言ってる気がするから」