風紀委員長ミーシャの事件簿
とにかく、大柄な生徒を担いだままの立ち話というのも気の毒だ。

私はラインハルトさんをまず保健室に案内する。

廊下を歩きながら。

「それにしてもお強いんですね、ラインハルトさん」

私は彼の隣に並んで言う。

「その生徒は第二徒手空拳部の部員で、練習量こそ足りませんが相当な使い手ですよ?それを赤子の手を捻るように制圧してしまうなんて…」

「いやぁ…」

照れ臭そうにラインハルトさんは笑った。

「職業柄、素手での格闘術や剣術、槍術、魔法…一通りの戦闘訓練は受けているからね。むしろ怪我をさせずに制圧するつもりだったんだけど…彼には悪い事をしてしまった」

彼はそんな風に言うが、気絶程度で済んだのはむしろ喜ばしい事だ。

ラインハルトさんが本気になっていたら、この生徒などものの数分で命を落としていたに違いない。

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