風紀委員長ミーシャの事件簿
生物ではない?

おかしな発言に私は眉を潜める。

エリートである天空宮警備騎士団のラインハルトさんとは思えない発言だ。

その表情を読み取ったのだろうか。

「突飛な発言だと思うかい?」

ラインハルトさんが薄く笑った。

「あ、い、いえ…」

心の中を見透かされてしまった事に、私は赤くなって俯いてしまう。

「事件の犯人探しというと、えてしてトリックとかアリバイとかを見破る事ばかりに執着してしまうけど…この天空宮市において、そればかりに執着してしまっては事件はいつまで経っても解決しない。何せこの街は、科学と魔法、機械と魔物が同居する街だからね」

「あ…」

ラインハルトさんの言葉に、私はハッとする。

私も読書は嗜む方で、推理小説などもそれなりには読破してきた。

しかし出てくる犯人は皆、何らかのトリックによって犯行を犯した『人物』ばかり。

この天空宮市に住んでいるエルフでありながら、私は科学的な推理しかしていなかった。

つまり…。

「この天空宮市には、人間や異種族、魔物やメイドール以外にも、肉眼では捕捉出来ない存在…精霊や霊体などの存在もいる。そして過去、天空宮警備騎士団が取り扱った事件には、それらが関与したポルターガイスト的な事件もあったんだ。彼らは目撃者を出す事なく、犯行を行う事ができるからね」

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