風紀委員長ミーシャの事件簿
特に何が起きるでもなく、夜は更けていく。

深夜2時。

別段おかしな現象も起きないまま、私はいつの間にか舟を漕ぎ始めていた。

私は規則正しい生活をモットーとしているのだ。

こんな時間まで起きている事など、普段では有り得ない。

今時の高校生としては珍しいのかもしれないけれど。

半分夢の中に入りかけていた時だった。

「ミーシャ」

ラインハルトさんに軽く肩を揺さぶられ、私は目を覚ます。

「は…?…いけませんラインハルトさん、私はそんなフシダラな女では…」

「何を寝ぼけているんだ、しっかり目を覚ませ」

彼は神妙な表情で宿直室の天井を見上げる。

「何か聞こえないか?」

「え…?」

涎を垂らしそうになっていた緩んだ口元を制服の袖で拭いながら、私は尖った耳をそばだてる。

「…!…!!!…………!!…!……………!!」

尚も止む事のない暴風雨。

その雨風の音に混じって、人の呻き声のような、呪詛のような、そんな声が微かに耳に届いてきた。

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