風紀委員長ミーシャの事件簿
キッと歯噛みする私を。

「ミーシャ」

隣に立つラインハルトさんが片手で制した。

「君の怒りは尤もだ。だが、そんな正論が通じないからこそ、彼女は悪霊となり、この学園に仇なした。説得や説教が通じるならば、彼女はあんな怨念の塊になったりはしない」

そう言った彼の周囲に、淡く光る魔力の粒子が渦を巻く。

群れなす蛍火のようなその魔力粒子が。

「甲冑よ 此処に」

ラインハルトさんの呪文詠唱により、彼の身に集中する!

淡い光は強烈な閃光へと変化し、私はその眩いばかりの光に目を細める。

闇を切り裂くほどの光の奔流。

その光が収まる頃。

「!」

ラインハルトさんの体は、白銀の甲冑に包まれていた。

頭部を保護する鉄仮面の左右側頭部には天使の翼を模した羽飾り。

細身ながらも全身を覆う甲冑には、金色の縁取りと装飾が施されている。

そしてその手には、ラインハルトさんの身長ほどもある片刃刀身の刃。

形状は大剣だが、柄の他に、刀身の峰、中ほどの辺りにもグリップがついている。

これにより、この刃は大剣としても突撃槍としても使用できるのだ。

天空宮警備騎士団専用装備、『スピア』。

ラインハルトさんは装着魔法により、この甲冑とスピアを瞬時にこの場に召喚、身に纏ったのである。

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