風紀委員長ミーシャの事件簿
美しくも凛々しい甲冑を装備し、ラインハルトさんはスピアを片手で構える。

「悪霊、僕は天空宮警備騎士団所属、下平ラインハルトだ。建造物侵入、傷害の容疑で…」

彼は巨大なスピアを軽々と振るい、悪霊に突撃を敢行する!

「お前を祓魔する!」

如何に細身、動きやすい形状とはいえ、甲冑を纏ってあれ程のスピードが出せるとは。

天空宮警備騎士団の制式甲冑は、装備するだけで加速、筋力強化、耐熱耐寒耐毒の効果が付与されると聞いた事がある。

その効果を最大限に生かし、彼はスピアを大振りに振り下ろす!

しかし。

「むぅっ!」

特殊な魔法金属によって鍛えられている筈のスピアが、悪霊の身をすり抜けた!

「そうか…!」

私は思わず口走る。

本来ならば霊体や精霊にも物理攻撃が可能な天空宮警備騎士団のスピア。

しかし高位の霊体に対しては、スピアの持つ霊体攻撃効果も無効化される。

目の前にいるこの悪霊は、長い年月を経て高い霊格を獲得し、霊体攻撃効果をも無効化するほどの魔力を身につけていたのだ。

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