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#prologue
「………暑い」


今日、この言葉を何度口にしたことか。


9月だというのに気温が33度もあり、真新しい白いブラウスが汗でべったりと体に張り付きとても気持ちが悪い。


それに加えて、車の中にいるにもかかわらずエアコンが効かないせいで窓を全開にし、もわーっとした空気を浴びなくてはならないことが余計私を不快な思いにさせる。


「凛、もう着くから準備して。」


母の言葉で視線を前にやると、前の学校とは比べ物にならないほど綺麗で立派な校舎が目に入った。


「あれが白咲高校…」


私は暑さを感じる事さえ忘れ、徐々に近づく校舎を眺めながら、期待と不安でいっぱいになっていく胸を押さえていた。
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