誘惑プリンセス【BL】
├宴飲の一時
部屋に帰り着いてもまだ、音が遠い。
耳の奥でキーンていう音が響いている。
それがライブの醍醐味だ、ってヒメには前に言われたけど、たったの2回しか行ったことの無い俺には、よくわからない感覚だ。
奇抜なメイクと奇抜なファッション。
思わず耳を塞ぎたくなるような爆音。
内蔵が揺さぶられるような重低音。
教えて貰うまではLuciがヴィジュアル系なんだ、ってことすら知らなかった訳だけど。
ステージに立ったヒメは普段の何倍も生き生きとしていて、そこがヒメの居場所なんだと思い知らされるようだった。
歌っているヒメは、輝いている。
本人には恥ずかしくて絶対に言えないけど、本当にそう思ったんだ。
風呂にでも入ろうと廊下に出たときだ──