誘惑プリンセス【BL】
 
「前回、歌えなかったから」


 伏し目がちに言うヒメからは最初の横柄な態度とは違って、本気で歌えたことを喜んでいるのが伝わってくるんだけど……。


「リベンジ出来たし、やっと前に進める気がするんだ」


 ヤバい。

 段々と、ヒメの声が遠くなっていく。


「……っ、ごめん。飲みすぎた、かな」

「気分悪い?」

「いや……なんか、眠い……。話、途中なのに……」

「いいって。気にすんなよ」


 眠気と戦いながらヒメに謝って隣の部屋へ行こうとすると、フラつく俺をヒメが支えてくれた。


「ここで寝りゃいいじゃん」


 そう言われ、腕を引かれるまま。

 俺は倒れ込む様にしてベッドで眠りについた。

 ヒメの匂いに包まれながら。
 



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