誘惑プリンセス【BL】

└秘密

 
「──あ、起きちゃった?」


 そんな声が、聞こえた気がした。

 でも、薄暗い視界の中にヒメの姿は見えない。

 寝返りを打とうとした瞬間、金属音が響いて腕に違和感が走った。

 脚も、何かが上に乗っているみたいでうまく動かせない。


「──……っ」


 嫌な予感に顔を上げると、またもや金属音がして──俺の脚の上に、シャツをはだけさせたヒメが乗っていた。

 薄暗さに慣れて来ると、剥き出しの白い肌がやけに目につく。


「……お前っ、何して……っ!?」


 俺が声を上げた瞬間、ヒメはにっこりと笑みを──妖しげな表情を浮かべていた。


「──ヒメっ!!」


 脚の上に乗ったままのヒメは、そのまま身体を屈めながら俺のシャツの中に手を差し込んでくる。

 脇腹を伝って胸に。

 擽るような緩やかな動きに、俺は堪らず身体を揺らす。

 全く意図の読めないその行為をどうにか止めさせようと思っても、ガシャガシャと金属音がするばかりで腕を動かすことが出来なかった。
 
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