誘惑プリンセス【BL】
 
「寝てる時の恭介って何しても起きないけど……さすがに今回は起きるよな」


 シャツを捲り上げられ、顕わになった肌に唇が落とされる。

 ゆっくりと、音を立てながらあちこちにキスをして……。


 漸く顔を上げたヒメは、いつもとは違う、熱に潤んだ眼差しを俺に向けて来た。


「その手錠、コドモの玩具じゃないから簡単には壊れねぇよ」


 ──手錠!?


 何でそんなもん持ってるんだよ!


 手首をギリギリと締め付ける冷たいソレは、どんなに動かしてもびくともしない。

 身動きの取れない俺は、唯一自由になる頭を上げてヒメを睨み付けた。


「お前、どういうつもりだよ!」

「自分がどういう状況かわかんねぇの?」

「そういう事を言ってるんじゃない!」

「恭介は今から俺に襲われんの──」


 ……なっ、襲う、って!?


「──……って言ったら、どうする?」

「悪ふざけなら今すぐやめろ。この手錠も直ぐに外せ!」

「……なぁ、いつもどうやってヌいてんの? 俺のこと、考えたりしてる?」

「話を反らすな!!」


 俺の話を聞いているのか聞いていないのか。

 俺の胸に体重を預けて来たかと思うと、両手で俺の頬に触れてきた。
 
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