誘惑プリンセス【BL】
「ごめん。俺やっぱりヒメが好きだ。アイツの事、信じていたい」
真っ直ぐに陣くんの目を見てそう言うと、彼は少しほっとした様な表情で、薄っすらと笑みを見せた。
「そう言うんじゃないか、って思ってました。こんな時に混乱させる事言ってすみませんでした」
深々と頭を下げられてしまった。
頭を下げるのは、俺の方なのに。
ヒメの事、俺一人じゃ何も出来ないのに。
「謝らないでいいよ。陣くんの気持ちには応えられないけど、その気持ちまで否定するつもりは無いんだし」
「やっぱり、恭介さんは優しいですね」
「そうかな……」
「また、手料理食べさせてくださいね」
俺が軽く返事をして、お互い一瞬の沈黙の後。
陣くんが突然立ち上がった。
「じゃあ、行きましょうか」
「行く? どこへ?」
「ヒメノを迎えに」