誘惑プリンセス【BL】

└何度目かの告白

 
 状況が理解できないまま。

 心の準備が出来ないまま、来てしまった。

 朔杜さんの住む、マンションまで。

 時刻は、深夜の2時頃だ。

 こんな時間に押し掛けて大丈夫なんだろうか。

 そりゃあ、一刻も早くヒメに会いたい。

 けど、明らかに非常識な時間帯だ……。

 こんな時くらい、そういう考えは捨てた方が良いのだろうか。


 エントランスで悩む俺に、陣くんはいつも通りの爽やかな顔で「行きますよ」と声を掛けて来た。


「あのさ、こんな時間、朔杜さんもヒメも寝てるんじゃ……」

「まごついてる間に寝取られたらどうするんですか」


 いや、だからさ、まさにその真っ最中だったらどうするんだよ。

 そんな現場に居合わせたくないだろ。

 そんな事、考えたくも無いってのに!


「行きましょう」


 再び、陣くんが俺に言う。


 何の迷いも見せない陣くんを、今は信じるしか無いんだ。

 陣くんが居なきゃ、俺はヒメの居場所すら見つけられなかったんだから。
 
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