誘惑プリンセス【BL】
 
 腹を括った俺は、陣くんの後を着いて行く。

 エレベーターに乗って、着いたのは3階。

 その角部屋の前で足を止めた陣くんは、そこでまた迷いもなく呼び鈴を鳴らした──


「ちょっ、陣くん!」

「……多分、ヒメノはもう限界だと思います」

「……っ、何だよ、それ。どういう……」

「何がなんでも、引きずってでも連れて帰りましょう。俺、タクシー呼んで来ますから」


 全く話が見えないまま、陣くんはドアから少し離れて携帯電話を取り出している。

 その間にも中から物音が聞こえて、程なくして鍵が開けられた。


「遅ぇぞ、陣……っ、なんでお前が──」

「……っ、恭介!?」


 煙草をふかしながら朔杜さんが出て来たかと思うと、そのすぐ後ろにヒメがいた。
 
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