誘惑プリンセス【BL】
 
 ふと気が付くと、首に激痛が走った。

 そのせいで眠気が吹き飛ぶと、今度は腕と足に凄まじい痺れが襲ってくる。

 床に座ったままベッドに凭れて眠ってしまったのだから、自業自得だ。

 思う様に身動きが取れないまま視線を動かすと、ベッドの上で静かに寝息を立てるヒメの姿があった。

 そっと布団の中に手を入れて、ヒメの華奢な手を握り締める。

 寝ているのだから、握り返して来たりはしないけれど。

 その温かさに、安らかな寝顔に、安心する。

 ヒメが俺の所に帰って来たんだと、実感出来る。

 痺れが治まるのを待って、ゆっくりと伸びをした。

 カーテンから覗く日の光は大分高い様で、ズボンのポケットに入れっぱなしだった携帯を開いて時間を確認すると、午前10時を回った所だった。
 
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