誘惑プリンセス【BL】
「実はさ、来てるの陣だけじゃないんだ」

「知らない靴が有るから、そうじゃないかとは思ってた」

「新しいメンバーが決まったんだ!」


 嬉しそうに笑うヒメの言葉が一瞬理解できなくて、俺は妙な顔をしていたんだろう。


「バンドのギターが決まったんだよ」


 そこまで言われて、俺は漸く気付いた。


「え、あ……そうなんだ? 良かったじゃん」

「なんだよ、もっと喜べよ!」


 俺の反応が気に入らなかったのか、ヒメはくるりと背を向けると部屋へと戻っていってしまった。
 

 もっと喜べって、言われてもなぁ。

 何だろう……複雑な気分が更に増大していく。
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