誘惑プリンセス【BL】
──どこかで携帯のアラームが鳴っている。
けど、枕元に携帯は見当たらず、夢現のままシーツの上を手探りで探す。
見つかる前にアラームは切れてしまい、溜息を吐いて寝返りを打つ。
俺の隣では見慣れた寝顔が静かに寝息をたてていた。
何となく、その横顔に手を伸ばした瞬間──
「……っ」
布団の隙間から、いつもの黒いスウェットではなく日に焼けていない白い肌が見えて……。
俺は逃げる様に慌ててヒメに背を向けた。
ばくばくと煩くなる胸に手を当ててやっと、俺自身も上半身は何も身につけていない事を思い出す。