誘惑プリンセス【BL】
 
「……コレ、うるさい」


 少し嗄れた声で呟いて、俺に携帯を押し付けて来る。

 そしてそのまま、抱きついて来た。


「ちょ……っ、ヒメ!」


 思わず大きな声を出してしまった俺の顔を、ヒメがぺちりと叩いて来る。


「うるさい」

「ご、ごめん。いや、あのさ、なんで服……っ」

「ん……服? ぱんつ履いてる……」


 そういう問題じゃない。

 ヒメが抱きついて来たせいで、ヒメの体温が直に伝わってくる。

 滑らかな肌の感触とか、鼓動とか。


「恭介、動揺しすぎ」


 くすりと笑いながら、俺の胸をトントンとリズミカルに叩く。

 その強さと速度が何だか心地良くて、無駄に早かった鼓動が徐々に落ち着いて来た。
 
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