誘惑プリンセス【BL】
「……その、……っ、俺は、男とするの初めてだからっ、ヒメに無理させてないかなって……気になって……」
「俺は大丈夫。俺の事より、恭介は?」
「俺!? どう考えてもヒメの方が……っ」
「カラダの事じゃねぇよ。ココ、だよ」
言って、ヒメは俺の胸をトントンと指先で叩く。
そして直ぐ、擦り寄るみたいにくっついて隠れられてしまった。
「俺は、男とするの慣れてるから……平気」
自嘲気味に放たれた言葉に、何だか胸の奥がぎゅっとなる。
ヒメの身体に腕を回して、その温かな体温を包み込む。
「恭介は、俺が初めてだろ。昨日は俺が無理矢理誘ったようなもんだし、そろそろ頭冷えて後悔してないかな、って……」
段々と声が小さくなっていくヒメの髪を撫でながら、俺は「そんな事ないよ」と言い聞かせるみたいに言葉を注ぎ込む。
「確かに思い出すと恥ずかしくて堪らないけど、ヒメとひとつになれて嬉しかったし、幸せだと思った。そりゃあ多少びっくりはしたけど、嫌だなんて思ったらあんな事出来ないって」
「……そっか」
たったそれだけ。
小さく呟いて、ヒメがさらにギュッと抱きついて来る。