誘惑プリンセス【BL】
 確かに、メンバーが決まったことは喜ばしいことだと思う。

 朧さんが抜けて活動出来なくなってたのは知ってるし、ヒメが歌いたいのも知ってる。


 だからって。


 何で俺んちに集まる訳?

 どっかそこらのファミレスとか居酒屋でいいじゃん。

 これから作る夕飯だって、4人分になる訳だし。

 材料足りんのか?

 つか、男4人ってどうなんだよ。

 暑苦しくないか?

 あの小さいテーブルを4人で囲むのか?


 そんな風に思いながら部屋に入ると、見慣れた顔と見知らぬ顔が、小さいテーブルを囲んでいた。

 テーブルの上には缶ビールやチューハイが並んでいて、既に何かが始まっている様子。


「こんばんは。お邪魔してます」


 相変わらず、陣くんは礼儀正しい。

 俺は適当に返事をして、狭い台所に入っていこうとした。


「恭介!」


 そんな俺を、ヒメが呼び止める。


「コイツが新しいメンバーの『律』だ。陣の幼馴染みなんだって」


 ヒメと陣くんの間に座っている律[リツ]くんが、軽く会釈する。

 明るい茶髪とすっきりした顔立ちの彼だけど、どこか幼い印象がある。


 そういえば。

 今更過ぎるかも知れないけど。

 俺、ヒメと陣くんが幾つなのか知らないや。

 間違っても、年上ってことは無いだろうけど……。


 そんなことを考えながら、俺も会釈して、今度こそ台所に戻った。
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