誘惑プリンセス【BL】
 小さいテーブルの上に、4人分のカレーライスとオニオンサラダ。

 缶ビールと缶チューハイ。

 他のモノが並ぶスペースは、もう無い。


「いただきます!」


 3人がそれぞれバラバラに言うのを聞いて、俺もスプーンを持つ。

 因みに、俺の正面には律くん。

 左にヒメ、右に陣くんが座っている。

 この部屋に越してきて以来、4人で飯を食うというのは初めてだ。

 1人の時は勿論、ヒメと2人になってもテーブルの狭さを気にしたことは無かったけど。

 流石に4人は無理がある。

 そんな事を考えていたら、不意に冷たいものが左頬に押し当てられて、俺は思わず妙な声を上げてスプーンを落とした。


「何すんだよ!」


 犯人は、ヒメ。

 冷たい缶ビールを持ってニヤニヤしてる。


「お前がぼーっとしてるからだろ。つーか、恭介も飲めっ!」


 いや、だからさ。

 焼肉ならまだしも、カレーにビールはどうかと思うんだ。

 そもそも俺は、飯を食いながら飲むのは好きじゃない。

 白米は酒の肴じゃないだろ。
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