誘惑プリンセス【BL】
「律、お前チューハイ飲むなよ!」


 スッ、と手を伸ばした陣くんは、律くんの手から缶チューハイを奪うと、ペットボトルのお茶を換わりに差し出した。


「飲んだっていーじゃん。今年ハタチなんだし」

「今はまだ19だろ!」


 どうやら陣くんは、礼儀正しいだけじゃないみたいだ。


「何だ、律って年下だったのかよ。陣と同い年だと思ってた」


 ヒメの言葉に、俺は違和感を感じた。


 年下だった。

 陣と同い年。


 俺には敬語で話す陣くん。


 陣くんは、俺より年下で、ヒメより上?


「……今更だけど」


 俺は恐る恐る、口を開く。


「ヒメと陣くんって、今幾つ?」

「え?」

「いや、だからさ。何歳なのか、って聞いてんの」


 たかが年齢聞くだけなのに言い直したのは初めてだ。


「俺は22で、陣はもうすぐ23だったよな?」


 ヒメははともかく、俺と陣くん同い年かよ!?

 全然そう見えないんですけど!!


 俺が言葉に困っていると、ヒメは「知らなかったのかよ」って、ケラケラ笑う。

 笑い方が、完璧に酔っ払いだ。
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