誘惑プリンセス【BL】

　何なんだ、一体。

　ヒメが、何考えてるのか、全然分からない。


　誰に確認するまでもなく、ヒメが朧さんを好きなのは確実だ。

　忘れたいほど、好きなんだろ？

　ヒメの元に朧さんが帰ってくることは無いから。

　どうにかして、朧さんへの想いを断ち切りたいんだろ？

　その為にセックスするなんて、間違ってる。

　一時的には忘れられるかもしれない。

　でもそんなの、ほんの僅かな時間じゃないか！

　自分の気持ちを誤魔化して、逃げてるだけじゃないか!!


　俺に甘えるのもいい加減にしろ。

　俺の気持ち──ヒメが好きだっていうこの気持ちに付け込んで、都合良く相手させようなんて、絶対、間違ってる……ッ!!

　そんなの、俺だって、ヒメだって、辛くなるだけじゃないか……。


　自分の中だけでは消化しきれない思いを抱えながら、部屋の照明を消す。

　少し硬い座椅子の上に横になった俺は、ベッドに背を向けて目を閉じた。