誘惑プリンセス【BL】
 何となくテレビを見ながら軽く夜食を食べて、風呂にでも入ろうと廊下に向かった時だ。

 入ってきた時は暗くて気付かなかったけれど、ヒメに貸した部屋の戸が、少し開いている。


「……?」


 廊下から差し込む細い光に映って見えたのは──素足の爪先。


 ──……足!?


 びっくりした俺は慌てて戸を開き、部屋の電気を点ける。


「……ヒメ!?」


 綺麗に畳まれた布団の上に倒れるようにして、そこに、ヒメが横たわっていた。


「おい、ヒメ! どうしたんだよ!!」


 ヒメの元に駆け寄って身体を揺すっても、その目は閉ざされたままで。

 俺は、薄ら寒い何かを感じながら、ヒメを抱きかかえた。
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