誘惑プリンセス【BL】
「本当はどこか悪いんじゃないのか? それとも何か、言いにくい事でもあるのか?」

「そりゃ、まぁ……色々と? 恭介だって俺に言えないことあるだろ」


 お茶を啜りながら、ヒメは歯切れの悪い言い方をする。


 ヒメのこの感じからして、身体は問題ないけど俺には言いにくい何かがある、って所だろう。

 病院に通っている風でもないし、な。

 もしそうなら、陣くんが心配して俺にも何か言ってくる筈だ。


 俺がヒメのことで知ってるのは、ほんの一握り。

 このところ色々有りすぎて、もう何年も前からずっと一緒に居るような気になっていたけど。

 実際は、俺とヒメが出会って、まだ一ヶ月も経っていないんだ。

 生活時間が違うから、ろくに会話さえ無い日だってある。

 それなのに、俺は有り得ないくらい短期間でヒメを好きになって、ヒメと居るのが当たり前みたいになって……。
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