誘惑プリンセス【BL】
 俺は、そういうことは、お互いの気持ちがちゃんと通じ合って、そこで初めて考えることだと思ってる。

 ヒメに言ってもどうせ屁理屈ばかり返ってくるだろうから、敢えて言い聞かせたりするつもりはないけど。


 それでもやっぱり、しっかり言わないとダメなんだろうか。


「ヒメ、俺は……」

「あ、悪ィ。電話だ」


 俺の言葉を遮るようにテーブルの上で震えだした携帯に飛びついて、ヒメはさっさと廊下へと出て行ってしまった。

 バタン、と遠くから響く扉の音と同時に溜息を吐いた。
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