誘惑プリンセス【BL】

├デート1

 そして翌日。

 着替える為に部屋に籠ったまま中々出てこないヒメに声を掛けてみれば、外で待ってて、と言われてしまった。

 一体何やってんだか……。

 待つこと約15分。

 強くなってきた陽射しに、じっとりと汗が滲んできた頃になって、漸くバタバタと玄関で物音がした。

 玄関脇に凭れていた背を浮かすのと同時に、扉が開く。


「待たせたな」


 言って出てきたヒメを見て、俺は思わず固まった。


「髪巻くのに時間掛かってさ」


 キレイにカールされた金髪が、肩口で揺れている。


「うわ、外暑っ。カーディガンにして正解だな」


 不思議なシルエットの黒いカーディガンが、風にひらひらと揺らめく。


「……おい」


 いくらなんでも、ソレは無いだろ。
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