誘惑プリンセス【BL】
「3番線だって」


 戻ってきたヒメから切符を受け取って一緒に歩き出せば、そこかしこから送られる視線が痛い。

 ヒメは……気にならないんだろうな。

 ちらと視線を送ってみれば、涼しい顔して歩いていやがる。

 ライブステージに立ったりするんだから、注目されることに慣れているんだろうな。


 俺とヒメ、周りにはどんな風に映っているんだろうか。


 ふと、そんなことが気になりだした。

 ヒメがこんな格好してる限りは、男友達とかには見えないだろうから……やっぱり、恋人、とかなんだろうか。

 いや、そもそもヒメが俺の腕に腕を絡ませてる時点で決定的だ。

 その腕を俺が振りほどけない時点で終了だ。


 ……何、考えてんだろ、俺。


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