誘惑プリンセス【BL】
 
「つまんねーの。もう風呂入って寝よ」

「──あ、ごめん。俺もまだなんだ。掃除するの忘れてた」

「掃除なんていいよ。つか、恭介もまだなら一緒に入る?」

「な……っ!?」


 な、なんてこと言い出すんだコイツは!!

 冗談でも言って良いことと悪いことあるだろ!?


「顔、真っ赤だぜ」

「お前が急に変なこと言うからだろ!」

「変って、別に減るモンでもなんでもねーじゃん。遠慮することなくね?」

「おま……っ」

「なんだよ」

「……ヒメは、忘れてるかもしれないけど、俺は……っ」


 俺は、ヒメが好きで……。

 好き、だから……。


「……っ、俺は──」

「──俺が好きなんだろ? ちゃんと憶えてるけど」

「……っ、だったら……!」

「別に、揶揄ってるつもりじゃねぇよ」

「じゃあ、一体どういうつもりなんだよ!」


 やっぱり、ヒメの考えてることは分からない。

 俺が真面目に告白したとても、結局は無駄なんだろうか。


「……なんつーの? 今は言葉とか、感情とかに縛られたくねぇんだよ」


 ふい、とヒメは俺から目を反らしてテーブルを見つめる。

 少し考えた後で、上目遣いにそっと視線を合わせてきた。
 
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