Flight with u
バンッ!!!
 机を叩く音でふと我にかえった。視線を前に戻すと状況が飲み込めてくる。叩かれた机は・・・私のもの。 目の前には無表情の谷沢が立っている。そして周りのクラスメートの冷ややかな視線。

「前島 おまえ授業聞く気がないのか?単位はいらないのか?」
「・・・・・・」
「こういう雰囲気を乱す奴がいるから、クラスの雰囲気を乱すんだ!授業を受けたくなければ出て行ってもいいぞ!」

 わかってる・・・コイツの『乱す』には、いろんな意味が含まれていること。急にいらついてくる。

(アンタの顔なんか見てられっかょ)

 私は、カバンを持って立ち上がった。一瞬で騒然となる教室。谷沢も私が本当に出て行くとは思わなかったらしく目を白黒させている。

 勢い良く教室のドアを開け

「さようなら。」 と叫んで飛び出した。

「前島・・・おいっ!前・・・」


 授業中の廊下はしんとしている。私の足音だけが静けさをかき消すように響いていた。
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