Flight with u

　『乱す』

　谷沢の嫌味な声が頭の中から離れない。授業中のよそ見なんて、誰にも迷惑かけてないし･･･。
それよりもアイツの言いたいのは私の存在、家庭環境、性格。それらがクラス、いや学校の風紀を『乱す』と言う事だろう。

　人間の身体にたとえるとアレルギー反応と一緒だと思う。身体の中（学校）に異質なもの（私）が入れば身体は拒否反応を起こす。市内でも『お堅い』で有名なお嬢様学校に、父親がいない、夜の仕事（といっても飲食関係だけど）で不在がちな母親とくれば仕方のないことかな（笑）なんて思ってしまう。
　その上、学校の雰囲気に似合わない性格も災いしてる。心にもないこと言って、先生のご機嫌とるなんて私にはムリ。好き嫌いがはっきりしてるってことがこんなに生きにくいだなんて、ここに来るまで考えたこともなかったなぁ。



　（もうお昼かぁ･･･。火曜だから、朋いるはず･･･♪）

　私は運良く火曜日ということに気づいて、校門を出ると勢い良く走り出した。
山崎　朋 中学時代の親友。私のことをなんでも話せる唯一のトモダチだ。高１の夏、学校を辞めて美容師の見習いとして働いている。学校を辞めるまでは、それこそすったもんだがあったけれど今は穏やかに１人で暮らして仕事も頑張ってる。私なんかに比べたらすごく大人。『お母さん』って呼びたいくらい（笑）